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「BtoBイベントのエクスペリエンス設計」イベントレポート

NewsPicksセミナーレポート_タイトル画像


目次      
  イベントレポート
    - BtoBイベントを取り巻く環境の変化
    - エクスペリエンス設計の「起点」となるコピーの役割
    - 【事例解説】WalkMe社「DAP Summit」
    - 明日からできる!イベント設計とコピー作りのヒント
    - 参加者からの声
  最後に

 

登壇者プロフィール

NPreport_守山の画像 守山航
Experience Marketing Div. チーフエグゼクティブ
2002年にアカウントプロデューサーとして株式会社ゼオ(現FMX)に中途入社。外資IT企業を中心に展示会、製品発表イベント、プライベートカンファレンス、映像、WEBなど企業の年間マーケティング活動をサポート。現在はチーフエグゼクティブとして、イベントのプロジェクト全体マネジメントに加え、戦略立案からクリエイティブ提案、ステージ演出、進行ディレクションなどを担当。
NPreport_樋口の画像 樋口晃平
コピーライター・プランナー
平成元年生まれ、長野県出身。大阪芸術大学映像学科卒業。 広告制作会社に入社し、制作部として映像制作を経験。 その後TYO/03でプランナーの経験を積み、TYO/SPARKに所属。 グループ組織改編によりFMX Creative部門で、コピーライター/プランナーとして活動中。 コピーライティングを中心に、テレビCMやWEB、新聞広告などを企画制作。
◆プロフィールページ(https://cr.group-fm.com/higuchi/

 

- イベントレポート -

株式会社ユーザベース(NewsPicks Brand Design)主催のセミナーイベント「心を動かすコピーが、感動を創る。BtoBイベントにおけるエクスペリエンス設計の超具体」が、9月30日のリアル開催、および11月26日のオンライン再放送をもって大きな反響のうちに閉幕しました。

本イベントでは、FMXのExperience Marketing部門 チーフエグゼクティブの守山航と、コピーライター・プランナーの樋口晃平が登壇。BtoBイベントの最前線で求められる「エクスペリエンス設計」の重要性と、その核となる「コピーライティング」について、具体的な事例を交えながら深掘りしました。

本記事では、大好評を博した本講演の内容から、特にBtoBマーケター、イベント企画担当者の皆様に役立つ「エクスペリエンス設計」のヒントを厳選し、レポート形式でお届けします。

 

BtoBイベントを取り巻く環境の変化:リード獲得から「エンゲージメント」へ

従来のBtoBカンファレンスは、新規リードの獲得やSQL(Sales Qualified Lead:営業案件として検討段階にある見込み客)への絞り込みを目的とした「ファネル型アプローチ」が王道でした。ファネルの最上部の間口を広げ、数を集めながらSQLへ絞り込んでいくプロセスの中で、イベントは、最後の商談・受注に繋がるための「一押し」という位置づけが一般的だったのです。

NPreport_従来のマーケティングファネルのイメージ

しかし、コロナ禍以降やサブスクリプション型ビジネスの拡大に伴い、新規獲得だけでなく顧客とのLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の最大化が重要視されるようになりました。

NPreport_現在のマーケティングファネルファネルのイメージ

この変化により、イベントの目的は「情報伝達の効率性」から、顧客との感情的な繋がりや共感、すなわちエンゲージメントを深めることにシフトしています。イベントは、単にリードを獲得する場ではなく、多角的な目的を持つ「エクスペリエンスの場」へと進化しているのです。

【イベントの多様な目的と関与部署の拡大】

マーケティング 認知向上、話題化、ファン化、製品優位性アピール
セールス 商談機会の創出、受注への確度向上
コーポレート
ブランディング
業界におけるポジショニングの確立、信頼感の醸成
人事・採用 中途/新卒採用向けの企業カルチャー訴求
社内活性化 社内理解の促進、社員のモチベーションアップ

この目的の多様化により、従来はマーケティング部門とセールス部門がイベントの中心でしたが、今ではカスタマーサクセス部門やエンジニア部門が来場者との対話を求め、さらには人事部門も採用のためにイベントの一端を担うなど、全社的な取り組みへと変貌しています。

 

エクスペリエンス設計の「起点」となるコピーの役割

イベントを単なるゴールとしてではなく、プロダクトの価値をどう伝え、どう体験してもらうかを起点に設計すること。そのスタート地点で重要になるのが、「言葉(コピー)」です。NPreport_イベント体験設計とコピーのイメージ

言葉には、来場者の共感を生み、企業のビジョンを明確に伝える力があります。イベント全体の体験設計においても、言葉は「ストーリーのタイトル」のような存在。どんな世界観を感じてほしいか、その方向性を最初に定める役割を担います。

コピーライターの樋口は、イベントを「企業が実現したい未来」と「どうにかしたい今(世の中の空気感)」をつなぐ「橋」と表現しました。

そして、この「橋」をかけるための基礎工事こそが言葉の役割。共感と信頼という土台を言葉で築くことで、初めて「渡りたくなるような」体験設計が可能になります。

NPreport_イベントとコピーのイメージ

また、コピーをつくるうえでは、自社への共感と客観的視点のバランスが重要です。
事業や製品を深く理解しながらも、一歩引いて社会との接点を見つめ直すこと。そのバランス感覚が、心を動かす言葉を生み出し、体験全体の説得力を支えていくのです。

 

【事例解説】コピーの力で体験設計をドライブしたWalkMe社「DAP Summit」

FMXが手掛けたWalkMe社のイベントでは、コピーがイベント全体の体験設計を牽引しました。

1.コピー企画の起点:社会課題の洞察

企画時点の社会課題として、DXツールを導入しても成果が出ないという状況が顕在化していました。その状況を「DXの迷宮化」と捉え、WalkMe社のビジョン「テクノロジーの力で人々の生産性を根本的に改革する」と結びつけました。さらに、WalkMeの平均投資利益率(ROI)が3年間で494%というファクトにも注目し、「DX成功の鍵はDAPにある」と定義づけました。

NPreport_コピー企画の起点のイメージ

2.イベントコピーの決定

こうしたプロセスを経て生まれたのが、イベントコンセプト「脱・DX迷宮 DAPは、成功のラストピース」。「迷宮に迷い込んだDXを、最後のピースで解き明かす」というメッセージを込め、イベントの世界観と体験設計の起点となりました。

NPreport_イベントコピーのイメージ

3.体験設計への展開

コピーで提示した「迷宮からの脱出」というストーリーをもとに、会場では言葉と体験が連動した仕掛けが展開されました。

動画はこちら

(再生時間 4分00秒)

パズルラリー スポンサーブースを巡ってラストピースを集める回遊設計。完成すると抽選に参加できる仕掛けを導入。
フォトブース キービジュアルの鍵や迷宮を表現した空間を演出。照明や構図にこだわり、参加者が「思わず誰かにシェアしたくなる」撮影体験を設計。

 

明日からできる!イベント設計とコピー作りのヒント

講演の締めくくりでは、明日から実践できるヒントも共有されました。

守山は、イベントの目的を「リード獲得」といったKPIではなく、「プロダクトの価値をどう伝えるか」から考える重要性を説きました。

NPreport_守山が講演している様子
一方の樋口は、コピーを作る際には、自社への理解と客観的視点の両立が大切だと語りました。そのバランス感覚が、言葉に説得力を与え、心を動かすコピーを生み出す基礎になります。
NPreport_樋口が講演している様子

「製品価値を、専門家ではない家族に伝える」練習を繰り返すことで、テクニカルな説明ではなく人に届く言葉を磨ける──。それが、心を動かすコピーと体験を生み出す第一歩だと、私たちFMXは考えています。

 

参加者からの声:満足度92.9%。「コピーが体験をつくる」への共感が続々

開催後の参加者アンケートでは、「非常に満足」「満足」を合わせて92.9%という高い評価を獲得しました。特に、コンセプト設計やコピーの重要性について多くの反響が寄せられています。

「イベントのコンセプトメイキングのお話が非常にわかりやすかったです。”橋をかける”という発想が新鮮で、言葉からコンセプトを立ち上げる具体的なイメージが掴めました。」

「イベント=今とありたい未来への橋をかける、基礎工事=ことば、というのが印象的でした。最後の予算の考え方も実践的で参考になりました。」

「大上段の考え方から具体の手法に落とし込むまでの展開が丁寧で、非常に興味深く拝聴しました。」

多くの参加者が「コピーを起点にしたエクスペリエンス設計」の可能性を実感する場となり、「コピーが体験をつくる」というFMXの考え方に共感の声をいただきました。

 

- 最後に -

本イベントでご紹介したように、BtoBイベントを成功に導くには、緻密な「エクスペリエンス設計」と、それを支える「心を動かすコピー」が不可欠です。

イベントの企画やマーケティング施策でお困りのことがございましたら、コンセプト立案からクリエイティブ制作、体験設計までを一貫してサポートするFMXへ、ぜひご相談ください。